
1971年に誕生した日清食品の代表ブランド、カップヌードル。発売から50年以上が経過した現在でも新フレーバーが次々と登場し、そのたびに大きな話題を集めています。定番の「しょうゆ」や「カレー」はもちろん、数あるシリーズの中でも特に高い人気を誇るのが「シーフードヌードル」です。魚介の旨味が凝縮されたまろやかなスープは、一度食べるとクセになる味わいで、筆者自身も長年愛してやまない商品のひとつです。
そんなシーフードヌードル好きとして見逃せなかったのが、2023年5月22日に発売された「カップヌードル シーフードパエリア味」です。商品名だけを見ると定番のシーフードヌードルを連想しますが、実際にはスペイン料理の代表格であるシーフードパエリアをモチーフにした、かなり個性的な一杯となっています。発売当時からSNSやレビューサイトでも話題となり、「想像以上にパエリアだった」「ご飯が欲しくなる味」といった声も多く見られました。
日清食品の公式発表によると、
「”サフランライス”をイメージしたほんのり黄色いスープは、イカやアサリなどの魚介を凝縮した旨味と、パエリアパンで焼いたような香ばしい風味が特長です」
とのこと。さらに具材にはイカやカニ風味かまぼこに加え、赤ピーマン、インゲン、たまごを使用し、シーフードパエリアらしい華やかな彩りを演出しています。通常のシーフードヌードルとは方向性が異なることは明らかですが、魚介系の味わいが好きな人なら期待せずにはいられません

まず栄養成分を確認してみると、1食89gあたり379kcal。炭水化物は54.4g、食塩相当量は6.8gとなっています。内訳は麺・かやくが2.5g、スープが4.3gです。カップヌードルシリーズとしては標準的な数値ですが、魚介やブイヨンの旨味がしっかり効いているため、実際の満足感は数値以上に感じられます。

原材料にも注目してみると、スープにはブイヨン、糖類、豚脂、食塩、チキン調味料、トマトパウダー、魚醤、香辛料などが使用されています。一方、定番のシーフードヌードルではポーク調味料やチキン調味料をベースにした比較的シンプルな構成となっているため、両者は名前こそ似ていますがスープ設計はかなり異なります。
特に印象的なのがトマトパウダーと魚醤の存在です。パエリア特有の魚介感や地中海風の風味を再現するうえで重要な役割を果たしており、一般的なカップヌードルとは一線を画す仕上がりになっています。

具材にはイカ、味付卵、魚肉練り製品、赤パプリカ、インゲンなどを使用。湯量の目安は430mlで、待ち時間はおなじみの3分です。

フタを開けてお湯を注ぎ、3分後に完成した一杯がこちら。
まず立ち上る香りが非常に印象的です。通常のシーフードヌードルのようなミルキーな魚介の香りではなく、パエリアを調理しているときのような香ばしさがふわっと広がります。トマトの酸味を感じさせる香りと、サフランを思わせる独特の芳香が混ざり合い、食欲を強く刺激してきます。

実際にスープを飲んでみると、その再現度の高さに驚かされます。
ベースはブイヨンですが、そこへアサリを中心とした魚介の旨味が重なり、さらに魚醤がコクを与えています。魚介の出汁が前面に出ている一方で、生臭さはほとんどなく、パエリア特有の香ばしさが全体をまとめています。
正直なところ、「パエリア味」と聞いたときはネタ商品寄りなのではないかと思っていました。しかし実際にはかなり本格的で、単なるシーフードヌードルの派生商品ではありません。むしろ「パエリアをスープ麺として再構築した」と言った方が近い印象です。
そして飲み進めるうちに自然と頭に浮かぶのが、
「これ、ご飯と一緒に食べたら絶対おいしいやつだ」
ということ。
実際、残ったスープにご飯を入れてリゾット風に楽しみたくなる味わいです。パエリア自体がお米料理であることを考えると、むしろ当然の感想かもしれません。

麺は通常のカップヌードルシリーズと同様の細麺タイプ。軽い縮れが入ったしなやかな食感で、スープとの絡みも良好です。
ただ、ここは好みが分かれるポイントかもしれません。
スープの完成度が高く、洋風の味付けがかなり強いため、「このスープならパスタの方が合うのでは?」と感じる場面もありました。実際、魚介系のブイヨンとトマトの風味はスープパスタを連想させます。
とはいえ、カップヌードルらしさを維持するためには現在の麺がベストなのも事実。もし本当にパスタ麺にしてしまったら、それはもはやカップヌードルではなく別商品になってしまいます。このあたりの絶妙なバランス感覚は、長年商品開発を続けてきた日清食品ならではでしょう。

具材についても満足度はかなり高めです。
イカはしっかりと存在感があり、噛むほどに魚介の旨味が広がります。さらに赤パプリカとインゲンが彩りだけでなく食感のアクセントとしても機能しており、想像以上に完成度が高い印象でした。
特にインゲンのシャキッとした食感はスープとの相性が良く、個人的には具材の中でかなり気に入ったポイントです。

総評としては、「予想以上に本格的なパエリアを再現した意欲作」という一言に尽きます。
魚介の旨味、サフランを思わせる香り、香ばしい焼き感、そして彩り豊かな具材。単なる変わり種フレーバーではなく、ひとつの料理としてしっかり成立していることに驚かされました。
一方で、麺料理として考えるよりも、ご飯やパンと合わせたくなる味なのも事実です。近年のカップヌードルシリーズは「ラクサ」や「欧風系フレーバー」など、麺よりもリゾットやパンとの相性を想像させる商品が増えており、本商品もその流れを感じさせます。
定番のシーフードヌードルとはまったく異なる方向性ですが、魚介系スープが好きな人にはぜひ一度試してほしい一杯でした。シーフードヌードルの延長線上ではなく、「パエリアをカップヌードルで表現したらどうなるか」という挑戦作として味わうと、その完成度の高さに驚かされるはずです。
ごちそうさまでした。
